【短】生徒会シリーズ1~憐れ、青春の闘争~
今度は新井田を指差す。
「え、え?えーと、ドイツですか?」
「アメリカとドイツ。その他の上位もヨーロッパが独占している。因みに日本も10位以内に入っている。
つまり、これは何を意味しているのか?」
「熱帯地方でとったカカオを先進国に運んで加工している」
答えたのは小山だ。
「そう、先進国だ。この場合、カカオの価格設定の決定は力のある先進国が行う。その振り幅は多くて5倍以上もありとても不安定だ。そのしわ寄せは全て生産者である彼らに行くのさ」
新井田と笹枝は胸が切なくなるのを感じた。
目の前のアーモンドチョコレートやポッキー、その他諸々のチョコレートの箱を眺め、これらの先にあるものを少なからず知ってしまった。
何も知らずにカカオの木に登り、豆を落とす少年達。
痩せ細った身体でご飯も満足に食べさせてもらえない。
それがこんな美味しいチョコレートを支えているのだと思うと、鼻の奥がツンとした。
「あの、私達が力になれるのでしょうか?」