【短】生徒会シリーズ1~憐れ、青春の闘争~
笹枝は思い切って甲賀に問い掛けた。
彼らのことを思うと、いてもたってもいられなくなったのだ。
笹枝の反応に新井田も力強く頷く。
そんな2人の姿が甲賀には嬉しかった。
そしてまた、頼もしくもあった。
「なぁ、橘!」
皆の心が1つになったとき、甲賀は、今まで話に入ってこなかった会計の橘 佳子(たちばな よしこ)を振り返った。
「──会長」
橘は視線をノートから離さずに、静かに甲賀を呼ぶ。
小山、新井田、笹枝の視線も橘へと集まった。
「馬鹿ですか?」
橘は静かに顔を上げると、迷いのない口調で言い放った。
「一万歩譲って児童奴隷認知の啓発運動の一貫を許したとしても、たかが学祭でゴディバでチョコバナナなんてできるわけないでしょう」
一刀両断。
一同は落胆に暮れたが、甲賀は尚も引き下がらなかった。
「しかし、予算をなんとか出来れば学校は良いと!!ほら、いつも予算がかさむお化け屋敷を無くして、チョコバナナの単価を上げれば!」
「却下します」
「橘ー!!」
「だから橘を説得できるなんて俺は無理だって言ったじゃないかー!」
「橘先輩、ガーナの子供達が…!」
「募金でもして下さい」
「ゴディバ……!!」
この日、生徒会室に悲しみの絶叫が聞こえたという。