最愛～あなただけが～

「こんな時間までお仕事なんて、大変ですね。」

　佳の向かいに座っている女性が、私に話かけてきた。

　小顔で色白。
　ショートボブの髪。
　背は私より高そうだ。

　私なんかより、ずっと美人･････


「そうなんだよ。
　いっそがしい会社みたいでさ。
　なぁ？璃子。」

「うん･･･」

「神崎先生ってば、全然璃子さんのことお披露目してくれないから、今日は強制的に璃子さんのお披露目会にしちゃったんですよ。
　･･･あ、自己紹介してなくてごめんなさい。
　私、手島未果です。」

　そう言って、上品に微笑む“手島未果”さん。


「こんなに美人な彼女だから、お披露目して他の男に気に入られるの警戒してたんじゃないっスか？」

「絶対そうだー！」

「ばーか。」

　男子生徒にからかわれて、笑いながら彼等の頭をチョップする佳。



　佳の顔を立てて、ちゃんと楽しんでいるフリをした。
　彼女らしく。



　残業より、疲れた････････