最愛~あなただけが~
(・・・そりゃ、好き・・・だけど。)



 あれは、酔った勢いだったのかもしれない。
 本当の本気の告白だなんて、そんな勘違い、しちゃいけない。

 鷹野さんは、私がいちいち反応するから、面白くてからかってるだけ。

 だって、奥さんも子どももいるひとだもん。
 自分の気持ちに正直になんてなれっこない。
 無邪気に欲しがれるわけもない。
 私にも、佳がいるのに。


 あの後、鷹野さんは総務部長と営業部長に付き添われて家に帰った。
 私を抱きしめて、好きだと言ってくれたひとだけど、
 帰る家があって、待っているひとがいる。



 それなのに、
 冗談なのか、からかわれただけなのか、
 本当に本気なのかわからない酔った勢いの鷹野さんの一言が本気だったらいいのに。とか、
 どうしようもなくあのひとに心が捕らわれてしまうほど、私は鷹野さんに恋してる・・・
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