最愛~あなただけが~
 朝礼が済んでから会社の駐車場に向かう間も、私達は無言で歩いて、複雑な気持ちで鷹野さんの車に乗り込んだ。

 鷹野さんも、心なしか神妙な表情をしている。



 鷹野さんと2人きりのドライブ。
 今はもう、単純に喜べない。


 ・・・ねぇ。鷹野さん。
 私、次の仕事探して辞めようと思ってるんですよ。
 これ以上あなたを好きにならないように。


 心の中で、そう呟く。



「この間は、店でゲロの後始末までさせてゴメン。」

 先に沈黙を破って、鷹野さんが口を開いた。

「それは、いいです。
 でも、あれは・・・」

「あれ?」

「酔った勢いで私のこと、からかっただけですよね?」

「・・・・・・・・」

 私の問いかけに、鷹野さんは黙ったまま。


「だって、鷹野さんには奥さんもお子さんも・・・・・」
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