最愛~あなただけが~
「抱きしめてもいい?」

「ダメ・・・です。」

 私は、俯いたまま首を振る。


 好きなひとに「好きだ」って言われて、嬉しくないわけない。


 でも、こんなキスされたら、感情のブレーキがきかなくなってしまう。

 その先が欲しくなるような、
 私の理性を麻痺させる、熱い、キス・・・・・・・・・・


 感情に任せて鷹野さんの手を取れば、取り返しがつかなくなるに決まってるもの。


「オレだって、わかってるよ。
 自分には家庭があるってことぐらい。」

 だけど。と、鷹野さんは続けた。

「好きなんだ。初めて会ったときから。
 都築さんの笑った顔が見たくて、都築さんに触れたかった。」

 きっと、鷹野さんは私を真っ直ぐに見つめてくれているだろう。
 でも、私は鷹野さんを見ることができない。


 恐いよ・・・自制できなくなるかもしれないもん。
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