最愛~あなただけが~
 本当は鷹野さんの腕の中に飛び込みたい。
「私も好きです。」って、言ってしまいたい。


 ・・・あぁ。
 自分の想いを自由に口に出来ないことが、こんなにつらいなんて。


「困ります。
 そんなこと言われたら、私、もう一緒に仕事できません。」

 俯いたまま、私は言った。

「そんなにオレが嫌い?
 一緒にいて、楽しいって思ってたのはオレだけ?」


 違う。
 嫌いなんかじゃない。
 私だって、鷹野さんと一緒にいると楽しいのは同じ。

 私は、それを口に出せずに、くちびるの内側を噛みしめた。


 好きなのに・・・
 好きだけど・・・


 鷹野さんは、既婚者だから。


< 181 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop