最愛~あなただけが~
 鷹野さんは午後から打ち合わせがあるとかで、
 いつもより早く昼休みに入った。

 全然気にしていないフリをしながら、休憩室に入った鷹野さんのことが私は気になって仕方がない。


(もうお弁当食べ始めたかな?口に合わなかったらどうしよう。)


「都築さん!
 ごめん。ちょっといい?」


 頭の中でグルグル考えていると、休憩室にいる鷹野さんから突然呼ばれた。


「・・・失礼します。」


 ドキドキしながら休憩室に入る。


「弁当、すっげぇ旨い!」

 不安顔の私とは逆に、鷹野さんはいつもの少年のような笑顔で、事務所のみんなには聞こえないように小声でそう言った。
 テーブルの上のお弁当は、もう3分の2は食べられていた。


 嬉しくて、笑顔になってしまった自分の緩んだ口元を慌てて引き締めて
 私は軽く頭を下げて、休憩室を出る。


 
 しっかり意識しておかないと、
 口元がまた緩みそうだった。
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