最愛~あなただけが~
「都築さん、出ようか?」

「はっ、はいっ。」

 私は、慌てて鷹野さんの後ろについて事務所を出た。


「そんな緊張しなくても大丈夫だよ。
 会長も副社長も、そんな怖くないから。」

 緊張している私を見て鷹野さんは笑う。


 違います。
 鷹野さん。

 緊張するのは、会長と副社長に会うからじゃない。
 鷹野さんと、ふたりきりだから・・・・・


「あー・・・そうだ。
 都築さん、車で音楽とか聴く?」

 従業員用の駐車場への道を歩きながら、鷹野さんが私に聞いた。

「はい。聴きますけど。」

「良かったら、CD貸してくれない?
 俺、ラジオしか聴かないから車にCDとか全然なくってさ。
 都築さん、何聴くの?」

「パンクロック。」

「パンクロック!?」

 私がしれっと平然として答えたので、鷹野さんは本気で驚いた表情をしている。
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