最愛~あなただけが~
 車内に、音楽が流れる。
 カフェで流れているような、心地良い音楽。

「これ、メジャーな歌のカヴァー?
 なんか、いいね。」

「良かったです。お嫌いじゃなくて。」

 私が好きなジャンルを、鷹野さんも気に入ってくれて嬉しくなる。



「タバコの匂い、大丈夫?
 窓、開けてたら寒くない?」

 運転しながら、鷹野さんがあまりにも気を遣うから、私は小さく笑ってしまった。

「ありがとうございます。
 でも、そんな気にしていただかなくても大丈夫ですよ?
 臭かったら鼻つまんでおくし、寒かったら寒いって言いますから。」

「鼻つまんどく。って、露骨じゃん!
 都築さん、面白いなー。」

 私の言葉に、鷹野さんは顔をくしゃくしゃにして、声を上げて笑う。

 その笑顔は、可愛い。と、思わずにはいられない。
 11も年上の、36の男性に可愛い。なんて失礼かな。
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