最愛~あなただけが~
「冗談だって。
 そうムキになるな。
 人事には関係ないから、聞かせてくれない?
 都築さんに長く勤めてもらうために、オレが個人的に対策練る。」

 鷹野さんは、そう言って白い歯を見せる。


 ・・・きっと、なんの意味も持たないはずの鷹野さんの言葉。
 それなのに、こんなにも私の心はときめいてしまう。

 一昨日出会ったばっかりで、このひとのことなど何も知らないのに。
 ただの上司と部下なのに。
 奥さんも子どももいるひとなのに。
 私にだって恋人がいるのに。


 心に、嵐が起こりそう。
 常識も、道徳も壊してしまうほどの嵐が。


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