最愛~あなただけが~
 そんなことを考えて黙ったままでいたら、

「で?」

 と、今までの退職の理由を催促された。

「鷹野さんにはお話しできないくらいくだらない理由です。」

「くだらない?」

「はい。くだらなさ過ぎるくらいくだらないです。」


 私がなかなか話そうとしないから、鷹野さんは溜め息をついた。


「・・・なら、こうしよう。
 話してくれたら、支社の近くにある中華料理店で昼飯奢ってやる。
 そこのあんかけ炒飯、超~旨いんだぞォ。」

「!!」

 “あんかけ”に反応した私は、思わず鷹野さんを見る。

「・・・ぶっ。」

 運転しながら、私をチラリと見た鷹野さんがふき出した。

「都築さん、目、輝き過ぎ!」

「えっ!?」

 慌てて“見ザル”のように両手で目を隠す私。
< 62 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop