最愛～あなただけが～

　それから鷹野さんは、私のことを何も聞いてはこなかった。


　会社の、誰が何の仕事をしていて、どんなひとなのか、入社した日にざっと説明を受けた人事のことを更に詳しく説明してくれた。


「副社長は、国立大学の薬学部を首席で卒業した優秀なひとで、自分も薬剤師として勤務しながら副社長の仕事もこなして、コンピューターみたいに全員の仕事を把握してるから。」

「薬学部を首席！？」

　私は、驚いて声を上げる。

「すごい方がいらっしゃるんですね。
　きっと、他のひとの何倍も努力してこられたんだろうなぁ･･･」

　私なんか、勉強と努力が一番嫌いだし（笑）


「オレも自慢していい？」

「鷹野さんも首席ですか？」

「まさか。オレの自慢は、スポーツの方。
　オレ、5才から剣道やってンだけど、小学4年から大学卒業するまで負けたことなかったんだぜ？」