最愛~あなただけが~
「さっきアーケードで入浴剤配ってたんだ~。
 都築チャンにもあ・げ・る♪」

 たっぷりの含み笑いを浮かべながら、私に入浴剤の小袋を渡す木根さん。

「『桃泉の湯』?
 へぇ~。お湯が乳桃色になるんだ!」

 私は木根さんにもらった入浴剤を見て、珍し~い!と声を上げた。


「彼氏と一緒に入んなよ♪
 見えそうで見えないよーな、濁ってる感じがなんかHぽくていいんじゃなぁ~い?
 しかもピンクゥ~。」

 いたずらっぽく笑う木根さん。
 木根さんはいつもこんな調子だ。

「木根さん。セクハラ。」

 軽く睨む私を、木根さんはフフフン♪と、鼻であしらって、次は経理部長にも入浴剤を渡している。

「奥さんと洗いっこしたらどうですぅ?」

 なんて、からかって面白がる木根さんと、真っ赤になってうろたえている経理部長。


 ちょっと逆セクハラな木根さんだけど、彼女がいるお陰で、どんなに忙しくて大変でも、私は一緒に笑いながらこの事務所で楽しくやっていけている。
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