キミだけ。


 この時、うっかり〝寝て″しまったこと。

 これが、私の失敗だったのかもしれない。

 あと少し、もう少しお父さんとお母さんの話をぬす聞いていれば…

  さっき聞き逃したことについて聞いていれば…

 未来の私はまだ、もう少し楽に生きられたのかもしれない。
 
 知らなかった。こんなこと。こんな気持ち。
 
 15歳で、まだ子供の私、親に甘えてる純粋すぎた私は、何も知らなかった。

   なにもかもが初めてだった。  

  ―16歳の誕生日。

   それは、私にとってただの誕生日だと思っていた日が、

  私にとって自分の生活が大きく変わることとなる日となり、
              
  私のことをたくさん変えて行ってしまう存在と出会うこととなる事も、
        
      その時の、まだ15歳の寝ている私は――

                 …まだ、何も知らない。
               
   それをすべて知る事となるのは、ずっとずっと先。
           
    始まりの鐘が鳴るまで、あと少し。 



 

    ―ぐっすり寝ている私は今はまだ目をつぶっている。―

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