片想連鎖 ~伝えたい心~

私は夕飯とお風呂を済ませ、色んな事を考えながら眠りについた。

また、ナオとの夢を見たんだ…。


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私を追いかけるナオ。
それから逃げるように走る私。
追い付いたナオが、私に叫ぶ…

『明奈っっ!!…ハァ、ハァ、っどういう事?!』

それに私は呼吸を整えながら答えたんだ。

『そっ…そのままの意味…だよ。』

『理由も言わずに”別れよう”だなんて、分かるわけないだろ?!』

『ごめん…。でも本当に…』
と言いかけて、ナオが私の腕を掴んだ。

私の気持ちの中はグチャグチャで、真っ直ぐ私を見てくるナオの目を見ることができず、俯いた。

『明奈が俺の立場だったら、そんなの納得出来るか?!』

『それは…』
と、私は言葉を詰まらせたんだ。

でも、こんな私の気持ちの中をどう説明していいのか分からなかったし、私が思っている事を知られたくなかった…。
ナオに、嫌われたくなかったから。

その時の私には、怖くて言えなかったんだ。
ナオは痺れを切らせて話を続けた。

『俺の事が好きじゃなくなったなら、そう言えよ!』

『っっ違っ…!!』

『じゃあ、何だよ?!』

いつも温厚なナオが声を張り上げていたから、私は必要以上に動揺してしまった…。

だから、ナオが、
『…他に、好きな奴が出来たとかか?!』
と言った時、そんな人なんかいないのに、ナオだけが好きなのに、思ってもいない事を言ってしまったんだ…。


『…もう、そういう事で、いいよ。』




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