片想連鎖 ~伝えたい心~

9時過ぎに階下のリビングに行くと、既に両親は出掛けた後で、ダイニングテーブルの上に朝食と置き手紙があった。
手紙には、もう出掛けるという事と明日の午後には帰るという事が書いてあった。

私はシャワーを浴び、部屋着に着替えて朝食を食べた後、しばらくソファーに体を沈めて何もせずにただぼんやりとしていたんだ。

その時、家のチャイムが鳴った。


美樹は夕方に来るはずだから、美樹じゃない。
セールスか勧誘かな…?


重い腰を上げて玄関まで行き扉を開けてみると、そこには絵里が立っていた。


「明奈っっ!お願い!」


「え、絵里。何?…どうしたの?」


「春休みの課題がー…エヘっ。」


そう言って、絵里は私におどけて見せた。


『書き写させてって事ね?』
と私が言ったら、
『お願いしますっ!』
と言い、両手を合わせて頭を下げたんだ。

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