片想連鎖 ~伝えたい心~

私は、自分が涙を流していただなんて気付かなかったんだ。
その位、動揺してしまったんだと思う。

ナオとの唯一の思い出の物だったから…。

絵里に、動揺した私を見せてしまって気まずかったけど、
『怒鳴ったりして、ごめんね。』
と謝った。

絵里は首を横に振って、少し間を置いてから話し出した。


「そのルーズリーフさ?名前ないけど、もしかして”ナオ”って人からの手紙だったりする?」


「……うん。」


「そっか。明奈は、まだ好きとか…?」


「………。」


私が黙ってしまうと、絵里は、
『そっか。』
とだけ言った。

あんな風に取り乱しておきながら、
『違う。』
とは言えなかったんだ。

絵里は、
『うーん…』
と唸った後に、また口を開いた。


「さっきのルーズリーフの手紙さ?最初、お説教?みたいな感じだったから、まさかラブレターだなんて分かんないまま思わず読んじゃったんだよね。」


「うん。ごめん。いいんだ…。約束だなんて、もう意味がない…し。」


「は?何で?自分で『子供みたいな』とか言っておいてなんだけど、明奈が大事だと思うなら、やっぱり大事で、有効じゃね?」


「……。」


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