片想連鎖 ~伝えたい心~

話が一区切りついてから絵里は、
『て事で、課題写させて。』
と言って机に向かった。


気持ちの切り替えというか…
ONとOFFのスイッチが
絵里のどこかにあるんじゃないのかな?


と思いながら、手持ち無沙汰だった私は読みかけの小説を手に取って開いた。

そしたら絵里が突然…
『あ。報告がある。』
と言って、机に向かったまま話し出した。


「あたし、柴田君と付き合う事になった。」


「えっっ?!いつの間に?!ていうか、絵里の好きな人って柴田君だったんだ?」


「あたしは基本的には相談なしに、ガンガン攻めるからさ?とりあえず、報告ね!」


「うん。良かったね!両想いになれて」


絵里は、
『うん。まあね。』
と、素っ気なく言っていたけれど、横顔を覗き見たら頬が赤く染まっていた。

『課題終わったら、話を聞かせてね?』
と私が言ったら、
『あははー…』
と、更に顔を赤くしながら、…なんか誤魔化された。


人の話は突っ込んで聞いてくるくせに、自分は嫌って事ですか…


しばらく沈黙が続いて、私も本に目を落として読み始めていたんだけど、また突然絵里が、
『あ!そういえば!』
と言って、また話し始めたんだ。


課題、先に終わらせればいいのに…


と思いながら、絵里の方を向いて話し出すのを待っていた。





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