片想連鎖 ~伝えたい心~

---- 絵里が帰った後。

ルーズリーフを胸に当てながら、私はベッドに仰向けになって考え事をしていた。


ナオ…会えるかな…?
私が素直に言ったら…
許してくれるかな…?


思い出の中のナオを手繰り寄せるように、想いを馳せた…


『明奈は桃色がよく似合うね?今度、母さんと一緒にフラワーバスケット作ってあげるよ。』


「ふふっ。ナオんちは花屋さんだから、いつも何かしらの花を持って来てくれてたっけ…。」


『そんな高い所に登って、どうやって下りるつもりだったの?明奈は。』


「木にいたカブトムシに興奮して、登って捕りに行ったんだよなー。結局、カブトムシに逃げられたあげくナオに降ろしてもらって…。ていうか、中学生でカブトムシって…子供か。私は。」


『明奈!考え事して歩いてると転ぶよ?!』


「私のお父さんですか…。あなたは。」


『明奈…。大好きだよ。』


「……。」


”私も、大好きだよ”


それは言えないまま…。
照れてばかりいないで、
ちゃんと言えば良かったのに…
今度は、ちゃんと伝えるからね?
ナオ…。


そう、強く強く、心に誓った…


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