片想連鎖 ~伝えたい心~
----
--
夕方5時に差し掛かった頃、川口君とデートを済ませた美樹が、泊まる準備をして遊びに来てくれた。
明日着ていく制服も持ってきていたから、かなりの大荷物だったけど、美樹は、
『これくらい平気よ?明奈んち近くまで爽が一緒に来てくれたしね?』
と微笑んでいた。
夕飯は宅配ピザで済ませた。
その後リビングでお茶にしながら、今日、絵里が来ていた事の話をしたんだ。
「例えばの話なんだけど…。私が越えなきゃいけない”壁”があるとするじゃん?」
「うん。」
「それが美樹との話だと”じゃあ、まず壁に向かって階段を作ろうか?”みたいに、ゆっくりと壁を越えて行くとするでしょ?私には、それが心地よくて安心だったんだけど…。」
「だったんだけど?」
「絵里は、無茶苦茶なの!あたかも初めから壁なんてないみたいに、ぶち壊して突き進む感じで!」
「感じで?それで?」
「それが、意外にも爽快で、たまにはそういうのもいいなーって思ったんだ…。」
『そっか!新しい視野が増えて、良かったね?明奈?』
と、美樹は凄く凄く嬉しそうに微笑んでくれたんだ。
それがまた私にも嬉しくて、思わず美樹に抱きついてしまった。