片想連鎖 ~伝えたい心~
「明奈ちゃんて、大人しいイメージだったんだけど、意外に冷徹なんだぁー?印象崩れて、僕、なーんか明奈ちゃんに興味津々なんスけどー?」
「「 はぁっ?! 」」
上杉君の言葉に、絵里と私は同時にそう叫んだ。
絵里は体をワナワナと震わせて怒り出して、
『あんたみたいな奴に、明奈は渡さん!!』
とか言い出して…。
そこに柴田君が来て、
『まぁまぁ、落ち着け?』
となだめてくれたんだ。
「絵里、ちょっと話を飛躍し過ぎだよ。上杉君は藤原の事、友達として言ってるんだろうしさ?」
「こいつが?!んなワケないじゃん!女の敵だっつってんの!とりあえず明奈には近付くな!」
「あーあ。僕、凄い嫌われようだねぇ?山口さんがいないからチャンスだと思ってたのに。絵里は、明奈ちゃんが男友達作るの”推進派”だと思ってたんだけど?佐々木とか。」
「あたしは人を選んでんだよ!!あっち行けっつーの!」
絵里がそこまで言うと、上杉君は、
『鬼母ちゃんの次は”鬼ババ”かよ。明奈ちゃん。僕は、別にとって食ったりしないから大丈夫だからね?』
と言って自席に戻って行った。
それでも絵里はイライラが続いていて、
『あいつに近付いたらダメだかんね?!』
と、私に言ったんだ。
私は別に、私がしっかりしていれば良いことなんじゃないかと思っていたから、適当に、
『うん。分かったよ。』
と言ったんだけど…
これからウンザリするような日々を過ごす事になるだなんて、思いもしなかったんだ…。