片想連鎖 ~伝えたい心~
『藤原さん。ちょっといいかな?』
と遠慮がちに話しかけられた。
少し離れた席に、絵里と柴田君が話をしていたから、まだ大丈夫だろうなと思って、
『…うん。いいよ。』
と返事を返した。
葉山さんは最初俯きながら黙っていたけれど、決心がついたかの様にバッ!と顔を上げて話し出した。
「あの!春休みの事なんだけど!」
と言った後、机に頭を打ち付けてしまうんじゃないかと思う位に、深く頭を下げて、
『ごめんなさい!!』
と謝ってきたんだ。
私は慌てて、気にしなくていいよと思いながら、その言葉を口にしようとしたら…
「”葉山さんには言われたくなかった。あんな突然知らされなければもっと冷静になれたのに!”」
と言う声が聞こえてきて、葉山さんは下げていた頭をガバッ!と上げて私を見てきた。
私は慌てながら胸の前で手を横に振りながら、
『今のは、私が言ったんじゃないよ!』
と言った。
私の横には、いつの間にか絵里が立っていたんだ。
「え、絵里ー…。」
「って、明奈が言ってたよ?葉山さん?」
葉山さんは一度絵里を見た後、また私に視線を戻した。
確かに今のは絵里が言ったけれど、私が言った事なのには変わりなかったから、私は否定せずに黙ってしまったんだ。