片想連鎖 ~伝えたい心~
しばらく走り続けていると、通り過ぎ様に公園が見えて、そこに入って行った。
後ろを振り返ると上杉君の姿が見えなくて、ホッとしたんだ。
『はぁ…』と溜め息をつきながら、
『何でナオと平山さんが…』と呟いた…。
「付き合ってるっぽかったね?」
と頭の上から声がして顔を上げてみると、そこには両手に缶の紅茶を持つ上杉君がいたんだ。
「……」
「はい。どーぞ?」
「…ありがと。」
上杉君は私に紅茶をひとつ渡すと、私が座っていたベンチの横に腰掛けた。
『こんな暑ぃのに走ってっと、脱水症状になるって、マジで!』
と言って笑った後、続け様にこう言ったんだ。
「…諦めれば?」
「っっっ!!」
「あいつでしょ?明奈ちゃんの好きな人。」
「何で、そんな事…。」
「佐々木が、近くに居ないからだよ。」
「はっ?」
「佐々木が明奈ちゃんの事好きなのは見てて分かってたし、その佐々木をフッたから明奈ちゃんの近くに居ないんでしょ?他に好きな人がいるからーとかっつって。」
その上杉君の言葉に、私は何も返せなかった。
どれも当たっていた事だったから…。