片想連鎖 ~伝えたい心~
プールの帰り、上杉君が私を送ると言い張って
『明奈に何かしたら半殺しにするから!』
と上杉君は結衣ちゃんに釘を刺されていた
。
結局、私は仕方なく上杉君に送られて…。
「明奈ちゃん、楽しかった?」
「うん。結衣ちゃんと遊べて楽しかったよ。」
「えー?僕は?」
「上杉君は上杉君で、楽しそうだったし?」
「…何ソレ?もしや、ヤキモチ?」
そう言って、上杉君は私を覗き込むように見てきて、
『そんなわけないじゃん!』
と言おうとした私に、顔を近付けて来たんだ…。
――― パシーンッ!!!
私の目の前には、左頬を手で押さえる上杉君。
左下に振り落とされた、私の右手。
上杉君の唇が、私の唇に触れる前に、私は上杉君の頬を平手打ちにしたんだ…。
上杉君は、顔をしかめて何も言わずに踵を返して帰って行った。
残された私は、震える両手を握り締めながら、家路についた…。