片想連鎖 ~伝えたい心~


夏休みの間、まだ、カイは私の前に立つことはなかった。

結衣ちゃんが痺れを切らせながら、
『海斗、まだ話しかけて来ない?どんだけ時間かかってんの…。まぁ、それだけ明奈の事を好きだったって事なんだろうけど…』
と、何気なく言った言葉に、筋違いだとは分かりながらも私は胸を痛めた。

上杉君は、あのプールの日から連絡もなく、自宅に突然来たりする事もなくなっていた。

上杉君がキス未遂した事は許せないけど、やっぱり平手打ちしたのは謝らなきゃとは思っていたんだ…。
上杉君には、休み明けに謝ろうと思った。


ナオの事は…
絵里に背中を押してもらって、理由を告白しようと一度は決心したはずだったのに…
私は瞼に焼き付いた二人の姿に、身動きが取れなくなってしまっていた。


私が伝える意味ある?
私一人が言ってスッキリしたいだけ?
ナオはもう、別に気にしていなくて、
既に過去の事として忘れてしまっているかも…


色々な事を考えすぎていた私は、夏休み明け、自分が騒動に巻き込まれるだなんて、想像も出来なかったんだ…




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