片想連鎖 ~伝えたい心~
派手な髪色に、濃い化粧…。
私に対して敵意丸出しの二人の人が、私の座る椅子の横に立った。
ブラウスの襟元にゆるく巻かれたタイが朱色だったから、名前を覚えられない私でも、その人達が先輩だという事は直ぐに分かったんだ。
でも…私…
この人達に何かした…?
私がそう思いながら先輩二人を見上げると、
『あんたが”藤原明奈”っつー女?』
とキツイ口調で話し出した。
私がおどおどしながら…
『…はい。』
と答えると、一人の先輩が、
『ちょっと空き教室来いや。』
と言ったんだ。
私は呼び出される理由が思い浮かばなかったけれど、このまま着いて行ったら最悪、暴力を受けるかもしれないと思いそれを拒んだ。
そう思わせる位、この二人の先輩の表情は険しかったんだ。
「…行きたくないです。」
「はぁ?あんたウチらに逆らう気?」
「用件なら…ここで聞かせて下さい。」
――― ガタン!!
その音と同時に、私の長い髪を一人の先輩に掴み上げられ、私は椅子から引き摺られる様に転ばされたんだ。
「いったっっっ!!!」
その状況を、教室にいた人達が見ている事に気付いたけど、誰一人として、助けに入ろうとしてくれる人はいなかった…。