片想連鎖 ~伝えたい心~


「カ…イ……。」


カイは息を切らせながら私の方に近寄ってきて、私の髪を掴んでいた先輩の手首を捻り上げた。


「キャッッ!!いっつっっ!!」


先輩に引かれていた私の髪は離され、そのまま私は崩れ落ちる様に床に座りこんでしまった。

私は、まだ痛みが残る髪の付け根を押さえながら、カイ達の様子をただ見つめるだけしか出来なかったんだ。


「あんたら、明奈に何してんの?」


「離せよっ!!どうせあんたもたぶらかされてんじゃねーのかよ?!この女に!!」


そう言って、先輩は顎で私の方を指し、そのまま私を睨み付けてきた。

カイは『ハッ?』と鼻で笑った後に、続けて先輩に言ったんだ。


「明奈は男をたぶらかせる様な、器用な女じゃねーんだよ。あんたらに分かってもらうつもりはねぇけど。」


「マジムカつく!!!藤原ぁっっ!!」


「へぇ?ムカつくから髪を掴み上げたんだ?…じゃあ、俺もあんたらムカついたから、好きにしていいよな?」


そう言って、カイは先輩の手首を掴んでいた手を離し、今度は先輩の襟首を掴み上げた。


「グーと、パー…どっちがいいっスか?」



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