片想連鎖 ~伝えたい心~

カイが先輩にそう言い放った時、入り口に立っていた柴田君が、
『海斗!やべぇ!5限目の先生来た!』
と叫んだんだ。

それを聞いても、カイは動じないまま先輩を掴み上げながら、先輩の耳元で何かを言っているのが見えた…。

教室に入ってきた先生が、先輩二人と、掴み上げていたカイを見つけて、
『お前ら何してんだ?!』
と近付いてきたんだ。


カイは掴み上げていた腕を下ろし、冷静に先生に向かって話し出した。


「すみません。先輩達が藤原さんに用事があったみたいなんですけど、もう授業も始まるので”教室に戻った方がいいですよ”って、少しジャレながら注意していただけなんです。」


カ…カイ…
そんな何もなかったみたいに…
笑ってる…?


「おぉ、そうか…。お前達も3年の教室に戻りなさい。」


先生が先輩に向かってそう言うと、先輩達は、
『うるせぇ!ハゲ!!』
と怒鳴って出て行ってしまったんだ。

ハゲと言われた先生はカリカリと怒っていたけれど、そんな先生にまたカイが話し掛けたんだ。


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