片想連鎖 ~伝えたい心~
そう言い切った上杉君の表情は、晴々としていた。
今まで押さえ付けていた本当の気持ちに気付いたかの様に。
「明奈ちゃんが、先輩にされた事を教えてくれたのも、あいつなんだ…。」
「え?同じクラスなの?」
「…詮索しないでよ。」
「…すみません。」
「あいつさー?全部分かってたんだ。明奈ちゃんと付き合ってない事も。」
「…そうだったんだ?上杉君からしたら、良かった事だよね?」
『うん…まぁ、そうなんだけど…』
と、上杉君は何故か言葉を濁したんだ。
私が、
『どうかしたの?』
と聞いたら、また口を開いて話し出した。
「あいつ…泣きながら怒ってきて…。”藤原さんは何も悪くないのに!何してんのよ?!”って…。」
「……。」
「その時さ、すっげー嫌な奴だとは分かってんだけど、先輩に絞められたのが”あいつ”じゃなくて明奈ちゃんで良かったって思ったんだよ。僕。」
「ホント、サイテー…。」
「ハハッ。だよねー?僕がこんなチャラ男なままであいつと付き合ってたら、あいつが締められんだよなー…って。」
「はぁ…。だから、髪の毛染めたの?」
『そっ。』とだけ言って、上杉君は俯いたんだ…。