片想連鎖 ~伝えたい心~
倦怠
---- 10月中旬。
この中間テストで、漸く私はカイを抜いて、やっと1位になれたんだ。
勿論、2位はカイだった。
夏休み前の中間と期末は、私もカイもズタボロだったから、二人してこの中間テストの結果を苦笑いしながら見上げた。
カイは、
『今回だけだし?次からは俺だから。』
と自信満々に言っていて、私は私で、
『口だけでは何とでも言えるしね?』
と嫌味を言った。
そしたら、カイは私にチョップしてきたんだ。
そういうスキンシップにも慣れてきていて、少しは私も変われてるのかな?…と、安堵していた。
カイが話の途中で…
『そういえば』
と言い出して
『何?』
と聞き返したら…
「今週末の土曜日さ?N大附属と練習試合があるんだけど、明奈、見に来るか?」
と言ったんだ…。
N大附属高校って…ナオの高校…。
練習試合って、勿論バスケに他ならなくて、
ナオもバスケ…してる。
カイには、ナオがどこの高校かも、何をしているのかも話してなかった。
カイにナオの話はしちゃいけないと思っていたから…。
私の返答が遅いのが気になったのか、カイは、
『どうした?』
と言いながら覗き込んできた。
私は、
『ううん。何でもないよ?週末行くね?』
とだけ言って、絵里と結衣ちゃんの待つ教室に戻って行ったんだ。