片想連鎖 ~伝えたい心~
体育館の中を見下ろしていた絵里が、私の姿を見て目を丸くしながら話し出した。
「明奈?!あんた何してんの?!」
「えっと…。なんとなく…。」
そう言う私を見兼ねてか、今度は美樹が話し出したんだ。
「直哉君が、来るかもしれないからでしょ?」
「……。」
「は?直哉って誰?直哉…って、ナオ?!」
「う…。」
『うん。』
と言いかけて言葉を詰まらせてしまった私は、バスタオルで顔全面を隠す様にした。
その私に結衣ちゃんが、
『前は遠目だったけど、今日は近くで見れるね?明奈?』
と言ったんだ。
不安はあるけど、やっぱりナオを見れるのは嬉しくて、
『…うん。』
と、私は答えた。