片想連鎖 ~伝えたい心~
ナオの纏う柔らかい雰囲気は、あの頃と変わっていなかった。
変わっていたのは…
スッとした顎先、
更に伸びた背、
広くなった肩幅、
適度についた筋肉、
少し骨ばった手…
そのナオの変化を見て、私はあの頃に感じた事のある感情が、沸き上がって来るのを感じていた。
ナオに、触れたい…
ナオに、近付きたい…
そう私が想いを馳せていた時、体育館の入口から
『すいません!遅れました!』
と言いながら入って来た人物に目を向け、私は体を強張らせたんだ…。
「平山さん…。マネージャーなんだ…。」
私がそう呟くと、絵里は、
『は?平山…て…。』
と一度言葉を区切った後
『三角形の一角かよ…。』
と呟いたんだ…。