片想連鎖 ~伝えたい心~
絵里と結衣ちゃんは、私が指差した方向に目線を向けた。
しばらくジーっと見ていた絵里が、
『確かによく見ると、佐々木とは全然似てない。ナオのが繊細そう。』
と言ったら、結衣ちゃんは
『何よ?海斗がガサツって言いたいの?』
と言い出して…。
私は、口喧嘩が始まると思ってオロオロとしていたけれど、絵里は結衣ちゃんを制しながらこう言ったんだ。
「雰囲気が、繊細そう。明奈に似てる。」
「ナオ君、体格は男!って感じだけど、顔立ちが中性的だよね?」
「そうそう。」
二人は喧嘩をせずに、今度は意気投合したのか楽しそうに話をしていた。
私は絵里の言葉がこれ以上にない位に嬉しくて、微笑みを溢した…。
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30分の練習の後に、2チームに別れて試合をする事になったようだった。
私は頭からバスタオルにくるまったままで、試合前にカイが私の方を見上げてきて、
『お前、何やってんだ?』
と聞いてきたけれど、私は首をブンブン!と強く横に振るだけで何も言わなかったんだ。