片想連鎖 ~伝えたい心~

試合が始まり、私は目でナオを追い続けた。

ナオはスリーポイントのポイントゲッター…。
ディフェンスをすり抜けフリーになると、綺麗なフォームでボールを放つ。
それはブレる事なくネットをすり抜けていった。

チームメイトに『ナオ！ナイス！！』と言われていた。


その後、異変が起きたんだ…。


カイが、ナオの事を集中的にマークし始めた。
監督の長谷川先生に、
『マークする相手が違うぞ佐々木！』
と、あからさまに注意されても、カイはナオに張り付いたまま…。


カイ…何してるの？


私がそう疑問に思っていると、絵里もカイの行動に違和感を感じたのか、
『明奈。佐々木にナオの話、した？』
と聞いてきたんだ。

私は”ナオ”のちゃんとした名前すらカイには教えてなかったから、絵里の方を向いて首を横に振った…。


ナオは、そんなカイの強固なガードをすり抜けて、スリーポイントの体勢に入った…。

その時、ナオの前に阻止に入ったカイの口が、動いたのが見えたんだ。

その瞬間、ナオはフォームを崩しながらボールを放ち、そのボールはゴールに入る事なく反れていった…。