片想連鎖 ~伝えたい心~

その後も、カイは監督の指示に従わずナオにぴったりマークし続け、午前中の試合を終えた…。


試合後、カイは当然の如く監督に怒られていて、他の部員と対戦相手の人達は昼休憩に入っていた。

私は、お説教が済んだ頃に美樹達と一緒にカイの所へ小走りで近付いて行ったんだ。
最初に口を開いたのは、結衣ちゃんだった。


「海斗!何してんの?試合メチャクチャじゃん!あのメンバーなら勝てるのに、海斗が乱してどうすんのよ?!」


「……。」


カイは何も答えずに、ただ荷物の整理をしていた。

その最中も、結衣ちゃんや絵里に散々嫌味を言われていたカイは、バッグを肩にかけて私の方を向いたんだ。


「…カイ。」


カイの表情は真剣身を帯びていて、私は言葉の続きを発する事が出来なかった。
カイは一度私から視線を反らし、N大附属高校のメンバーがいる方へ目を向けた。

メンバーを見渡してるんじゃない。
カイは一点の場所に視線を止めていたから…。


カイの視線の先には、ナオと平山さんの姿…。


カイはまた私に視線を戻したけれど、それでも話し出す気配を感じさせなかった。
私は、ナオの真剣な眼差しに気付かずにはいられなかった…。


カイは、
気付いたんだ…
背番号の上にプリントされた
” N . IWAKURA ”
そのユニフォームを着た人物が


【ナオ】なんだと…



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