片想連鎖 ~伝えたい心~
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それからしばらくして、美樹が来てくれた。

早朝だったけれど、私を心配してくれていた美樹を、お母さんは快く招き入れてくれて、
『もう少ししたら私達は仕事に行くけど、美樹ちゃん、ゆっくりしていってね?』
と言葉を残して、私の部屋から出て行った。


「おばさん達、相変わらず忙しそうだね。」


「うん。まあ、サービス業だし。新メニューの仕込みがあるみたいよ?」


私の両親は、私が小学生の頃から喫茶店を経営している。
階下に店舗があれば少しは楽なんだろうけど、住宅街から少し離れた貸し店舗を使っていた。

両親の人柄あってかそれなりに繁盛していて、ゆくゆくは自宅兼店舗を建てたいと話しているのを耳にしていた。


「無口な頑固オヤジ風だけど、中は熱い人だし。コーヒーの味も良いって、うちのお父さん言ってたよ?おばさんは物腰柔らかくて、ケーキだって、そこらのケーキ屋より美味しいしね。」


「あはっ。ありがとう、美樹。」


美樹達家族は、私と美樹が中学で知り合ってからの常連さんだ。

無口なお父さんも、美樹のお父さんとは口数が多くなる。
とても気が合う、昔からの友人の様に。

美樹のお母さんと私のお母さんは、いつも新しいスイーツの話に花を咲かせていた。
美樹とも仲が良かった私は、それがまた自分の事の様に嬉しかった。


「…うちのお父さんも、明奈の事、心配してたよ?」


「…そっか…。今度、謝りに行かなきゃ…」


「謝りに、じゃなくてさ。元気な顔を見せてあげるだけで、いいんじゃないかな?」


「…うん。」



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