片想連鎖 ~伝えたい心~
両親だけじゃなく、親友や、その両親にまで心配かけてしまった事に、胸を痛めた。
「……。」
私が話し出すのを待ってくれている美樹に、何からどうやって話せばいいのかと、俯きながら考えていた。
長い、長い沈黙…。
そこに、助け船を出すかの様に、美樹が口を開いた。
「おじさんね、明奈にきつく言い過ぎたって、言ってたよ?それでなのかな?」
「…それもそうだけど、元々は私が悪いし…。」
「…そっか。でも、あんな無断外泊なんかしなくっても、…私に愚痴れば良かったのに。」
「…うん。でも…美樹『彼氏と付き合って2年目の記念日なんだ』って言ってたし。…あ!誤解しないで欲しいんだけど、責任転嫁とかそんなんじゃなくてさっ?ただ、私が唐突にした事で…」
そう言った後、
『記念日に心配かけさせちゃって、ごめんね』
と、言葉を付け足した。
「…ん。それで、明奈はどこに行ってたの?漫画喫茶とか?」
「……。」
どこで何をしていたのか、話し辛かった。
自分のしでかした事もあったけど、美樹は、中学の頃から【あの子】を毛嫌いしていたから。
それでも、美樹には話さないわけにはいかないと思って、私は隠さずに全部伝えた…。
美樹は、口を挟む事なく私の話を聞いてくれて、私は、美樹の顔を見る事が出来ず、俯く事しか出来なくて。
「あの子に嵌められて、男にハメられて、ハハッ…。何コレ?ダジャレ…?」
そう言い終えて視線を少し上げてみたら、美樹の膝の上にある手が強く握りしめられていて、震えているのが見えた。
その拳に、パタパタと雫が落ちてきて…
バッ、と美樹の顔を見上げたら、眉間に皺を寄せて、ポロポロと涙を流して泣いていたんだ…
「…っっ!何笑ってんのよっっ?!」