片想連鎖 ~伝えたい心~
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平山と半ば諦め気味に【偽物カレカノ】になってから数ヶ月が過ぎていた。
平山は、
『偽物がバレたら意味ないから、帰りは一緒に帰って、月1でいいからデートね?』
と言って、俺も流される様にそんな事を続けていたんだ。
高2の7月。
その週末に、恒例の【偽デート】をする為に平山と出掛けていた。
俺自身は付き合っている意識がなかったから、勿論手なんか繋がないのは当たり前だった。
平山もそれは分かっていたみたいで、友達とかには、
『直哉君は、手を繋ぐのが恥ずかしいんだって。だから、繋がないんだー。』
と言っていたようだ。
それなのに、その日、平山は歩いている最中に突然腕を絡めてきたんだ。
俺は最初、近くに学校のやつがいるのかと思って辺りを見渡してみた。
だけど、それらしい人は見当たらなかったから
『悪いけど放してくれる?』
と言って、平山の絡めてきた腕を掴んで解いた。
その時、車道を挟んだ向かい側の歩道から聞こえてきたんだ…
「明奈ちゃん!待って!!」