片想連鎖 ~伝えたい心~
俺は”あきな”の名前に反応して、声のした方を見たんだ。
そこには、髪を金髪にした派手目な男が走っているのが見えた。
”あきな”という人物は既に道の角を曲がった後だったのか、見ることは出来なかった。
だけど、その金髪の男を見た時に、男の前を走って行った人物は”明奈”ではないだろうと俺は思ったんだ…。
明奈が、ああいうタイプの男が苦手なのを知っていたから。
俺は溜め息をつきながら胸を撫で下ろし、歩みを止めていた足を動かした。
その俺の後ろで、平山が悔しそうな顔をしていたとも知らずに…