片想連鎖 ~伝えたい心~
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午後の練習試合の間中、明奈の事を考えて上の空だった俺は、チームメイトの足を引いてばかりいた。
そのせいで、午後は惨敗だったんだ…。
--- 練習試合の帰り。
夏の偽デートでしていた平山の表情を、俺は目の前で見ることになった…。
平山は悔しそうに唇を噛みしめ、今にも泣き出しそうな顔をしていたんだ。
俺の腕を引き、俺を見上げて、平山は言った。
「直哉君。…キス、して。」
そんな表情をしながら、そんな言葉を聞いた俺は、顔を背けて俯きながら平山に言う。
「ごめん。…出来ない。」
「っっ!…まだ、明奈が好きだとか言うの?」
「…そうだよ。」
「明奈が直哉君の事を好きだなんて、あるわけないじゃん?!直哉君をフッたんだよ?!」
「明奈が俺をどう思っていようと、俺自身は明奈が好きなんだ。」
「明奈は、あの佐々木とかっていう人と付き合ってるっぽかったでしょ?!好きでいたって意味ないじゃない!!」
平山には酷な事だとは分かっていながらも、そう言った平山に、俺は思っている事を口にしたんだ。
「明奈が誰を好きで、誰と付き合おうと、俺は明奈だけが好きなんだ。俺の心は、明奈の所に置いてきた。だから、平山を好きには、ならない。」