片想連鎖 ~伝えたい心~


「修学旅行の初日の夜。直哉君が私達の部屋に来たでしょ?明奈に会いに。」


「うん…。」


「その日の夜中に明奈、寝言を言ってたの。」


「…なんて?」


「”好きだよナオ。大好きなのっ。”って…。」


「……っっ。」


「あまりにもハッキリ言ってたから、寝言じゃなくて独り言なのかな?と思って、掛け布団を捲ってみたら…。明奈、寝ながら泣いてた…。」


「………そう…だったのか。」


俺は、込み上げてくる気持ちの数々に胸を締め付けられて、それ以上の言葉を発する事が出来なかった…。

未だ理由を知れぬままだけれど、明奈が俺を好きなまま別れを選んだという事を、
どれだけ明奈は辛い想いをしたのだろう?と。


俺だけが苦しんでいたと思っていた。
けど…実際は違ったんだ。


どうか…明奈の苦しみが…
和らいでいますように…
そう、祈った…




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