片想連鎖 ~伝えたい心~


「んー。それは、人によりけりじゃない?どっちも有りだろうし…。」


「そりゃそうだ。てかさ?明奈はそれ以前の問題だろうから、気にするところ違くない?」


「はっ?それ以前って?」


「人を愛すとか、人から愛されるだとか、それ以前って事。明奈は明奈自身を愛せてないんじゃん?…ああ。だから劣等感丸出しなのか、明奈は。」


『じゃあ、まず”自分を愛す”ところから始めようかー?明奈君っ。』
と付け加えるように絵里に言われて…


私は思わず息を飲み込んでしまったんだ。


”目から鱗が落ちる”って、こういう事か…
じゃあ、私はどう人を愛す?
自分を愛すとか、自分を好きになるとか、
私は出来るはずがないんだから…



私は、私自身を、

【あの日】に黒く塗り潰して、

深い、深い、闇の中に

隠したのだから…



私は私自身を救う術を知らなかった…



そう心で呟いていた私は、まさかこの日、

悪夢のような時間が訪れるとは思いもしなかったんだ…

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