片想連鎖 ~伝えたい心~

美樹が、私の体をキツく抱き締めて、声を抑える事なく泣いた…。

そっと美樹の背中に腕を回し、私も抱き締め返して
『美樹が、私の事を大事にしてくれているのは、分かってる。美樹の事、傷つけてごめんね…?』
と耳元で、そう告げる…。

私の肩の上に頭を添えていた美樹は、何度も頷いていた。



「…美樹?」


「…ん?」


「…あ…、あの…ね?」


「…いいよ、ゆっくりで。」


「…うん。あのね…。私、凄く怖かった…」


その時、美樹は腕の力を強めて、更にギュッと私を抱き締めた後、背中をトントンと叩いた…

”一緒に痛みを分かち合うから”と言わんばかりに…


「お酒も、飲んじゃって…押し退けられなかった…。叫ぼうにも…声出ないし、他に…誰もいなくて…。」


「……ん」


「あぁ…、ダメかなー…って、諦めたらっ…もう、どうでもいいやっ…て…。エッチどころか、…キスだって、…初めてだったのにっっ」


話し終えたら、一昨日の夜の出来事がフラッシュバックして、部屋の景色がグラついた。

心臓が信じられない早さで打ち出して、
気持ちが悪くなった私は、
美樹に添われてトイレで吐いた…。


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