片想連鎖 ~伝えたい心~
体を硬直させながらも、私は直ぐに視線をテーブルに落として俯いたんだ。
自分の顔が誰からにも見えない様に。
なのに…
「あっれぇー?!明奈じゃん?!お久ぁ!!」
【あの子】が、私に気付いて立ち上がり、私達のテーブル席まで来たんだ…。
背中に嫌な汗が伝っていく感覚がとても気持ち悪くて、目眩を起こしそうだった。
美樹は、私の手をテーブルの下で握り締めながら、【あの子】に話し出す。
「悪いけど、近寄らないでくれない?」
「はぁ?アタシは明奈に話しかけてんだけど?山口さんじゃないしっ。」
「連絡も取り合いたくない相手と、明奈が話したいはずないでしょ?」
美樹は…
落ち着いて話しているつもり
かもしれないけど…
顔を上げて美樹の表情は
見れないけど…
怒りで声を震わせているのが分かる…
絵里やカイは、黙ったままだった。
私も、ただただ俯く事しか出来なくて、力が入りすぎていた体が、今度は少しずつ震えに変わってきていたんだ…。