片想連鎖 ~伝えたい心~
《 海斗 side 》

明奈が店を飛び出して直ぐ、俺は追いかけた。
歩行者は今日に限ってやたらと多くて、人混みを縫うように走っていた。

なのに、明奈は周りが見えていないかの様に、人にぶつかりながら走り続けていたんだ…。


さっきの女…
あんな事を言っていたが、明奈は、そんなんじゃない。
自分で望んでそうしたなら、あんな風にはならないだろ…


それなら…明奈は…


…そこまで考えた所で、俺は頭を振った。
明奈のさっきの状態を、俺は良く知っていたんだから…。


あの女が元凶で
明奈は、あの夏に…
人形になったんだ…


明奈…っっ!!


数メートル先に明奈がいるのにも関わらず、この人混みのせいで中々追い付けない。
それが一層、俺をもどかしい気持ちにさせた。

ふと、明奈の走る前方を見たら、そこには赤く点灯させている横断歩道があったんだ。



明奈は、走る足を止めなかった…。




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