片想連鎖 ~伝えたい心~


「家まで送るから…帰ろう。大丈夫。明奈には、触れないから…。」


俺がそう言うと、明奈は身体をガタガタと震わせながら頷いた。


「ご…ごめん。…叫んだりして。」


「いや。いい。」


そう言った後、俺達は何も話す事無く人混みを避けながら歩き出した。



---
-


俺は明奈の家には行ったことが無かった。
だから、明奈の後ろを歩くしかなかったんだ。

明奈は、両腕で自分を抱き締め、俯きながら前を歩いていた。
時々、怯えながら俺の方を振り返ったりしていたんだ。


このままだと俺…
ストーカーで通報されるぞ…


そう思い、俺は明奈の隣に並んで歩いた。

しばらく歩いていると、明奈が歩く足を止めて
『家、ここなの…。』
と言って、俯きながらも俺に向かい合った。


< 221 / 316 >

この作品をシェア

pagetop