片想連鎖 ~伝えたい心~
「家まで送るから…帰ろう。大丈夫。明奈には、触れないから…。」
俺がそう言うと、明奈は身体をガタガタと震わせながら頷いた。
「ご…ごめん。…叫んだりして。」
「いや。いい。」
そう言った後、俺達は何も話す事無く人混みを避けながら歩き出した。
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俺は明奈の家には行ったことが無かった。
だから、明奈の後ろを歩くしかなかったんだ。
明奈は、両腕で自分を抱き締め、俯きながら前を歩いていた。
時々、怯えながら俺の方を振り返ったりしていたんだ。
このままだと俺…
ストーカーで通報されるぞ…
そう思い、俺は明奈の隣に並んで歩いた。
しばらく歩いていると、明奈が歩く足を止めて
『家、ここなの…。』
と言って、俯きながらも俺に向かい合った。