片想連鎖 ~伝えたい心~
潜伏
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美樹と抱き締めあって泣いた日から、半年が過ぎた。
美樹のオマジナイが効いたのか、私はあの夜の出来事を思い出さなくなっていった。
付け加える様に”彼氏を作りたい”とは、思わなくなっていたんだ。
それが、恋愛体質の絵里には納得がいかないらしく…
『彼氏いたら、楽しいって!』
『誰か紹介しよっか?』
『佐々木とかどう?カッコいいっしょ?』
とか、連日のように捲し立てていた。
絵里は、あの夜からしばらくして仲良くなった友達だったから、私も美樹も、その話については敢えて話さなかった。
だから、いつも恋愛の話になると苦笑いしながら、ただ聞き流していたんだ。
美樹にしてみれば”明奈に男を紹介”だなんて、NGワードだったんだろうけど、多分、あの笑顔の下で怒りの炎を燃やしていたんだと思う。
美樹が、いつも隣で笑ってくれていたから、私は思い出す事もなかったんだ。
私の事を、良く理解してくれているそんな美樹の存在に、私は守られていた…。