片想連鎖 ~伝えたい心~
屋上の扉の前に立つと美樹が、
『あっ…。飲み物買い忘れちゃった。喉乾いたでしょ?直ぐに買ってくるから、屋上に行って待っててくれる?』
と言ったんだ。
一人になった私は、目の前の扉を開けて屋上に出た…。
この文化祭の最中に屋上に来るなんて、私達くらいだろうと思っていた。
だから、まさか先客が居るだなんて思いもしなかったんだ。
そこに居たのは、一人の男子生徒…。
私は直ぐに視線を足元に落として体を硬直させ、立ちすくむ…。
美樹…
早く来て…っっ!
私がそう心の中で叫ぶと、それに答えるかの様に屋上の扉が開いた。
『美樹…!』
と言いかけて後ろを振り返って見ると、そこには絵里が立っていたんだ…。