片想連鎖 ~伝えたい心~
「え?絵里?…美樹に…会わなかった?」
「ん?会ったよ?美樹は、川口君と文化祭巡りに行ったし。ほら明奈、これ持ってこっち来な。」
絵里はそう言うと、自分が持ってきた大きめの紙袋を私に渡した。
絵里はどんどん歩いて行き、屋上の端のフェンスを背にして話し出す。
「明奈が話す相手は、美樹じゃないよ。」
「へ?じゃあ、誰?絵里?」
絵里は私の質問には答えずに、
『紙袋の中、見な?』
と、それだけ言った。
私は、不思議に思いながらも、言われた通りに紙袋の中を見たんだ。
そこには…
・ホット缶の紅茶が2本
・色々な種類のスナック菓子
・フリースの膝掛けが2枚
・キッチンで使う60分タイマー
それらが入っていた。
「ねぇ?これ、一体何に使うの?」
私がそう言うと、絵里は、また何も答えずに紙袋の中からタイマーを取り出し、自分のポケットからも1つのタイマーを出した。
絵里はその2つのタイマーを”60分”にセットして、スタートボタンを押したんだ…。